主な植物油脂とその特性

植物油脂 特性
大豆油 大豆(油分18%)から抽出法で得られる半乾性油。脱脂大豆は家畜の蛋白原料として貴重。多価不飽和脂肪酸のリノール酸を50〜57%含む。主産地は米国,ブラジル,アルゼンチン,中国など。
菜種油 菜種(油分40%)から圧搾・抽出法で得られる半乾性油。オレイン酸を60%含む。大豆油を抜いて生産量はわが国でNo.1。主産地は中国,カナダ,欧州,EUなど。
胡麻油 わが国でも古くから利用されている油で,リグナン類をはじめとした生理活性に優れた微量成分を含む。多くは焙煎して風味付けして使用される。主産地は中国,アフリカ諸国,ベトナムなど暑い地域が中心。
綿実油 綿花生産時の副産物である綿実を搾油して得られる半乾性油。リノール酸を50〜60%含むが飽和脂肪酸も多く(20〜30%)含み,安定性に優れる。綿実は綿花の副産物であり,綿花の生産国は中国,米国,ロシア,インドなど。
米油 米糠から抽出で得られる。原油の平均酸価は25前後と高く,精製歩留りが低い。オレイン酸(40〜44%),パルミチン酸(16〜17%)など植物油の中では比較的飽和酸,単価不飽和酸が多い。わが国唯一の国産植物油である。
ひまわり油 かつては大豆に次ぐ重要な油脂だったが今は4番目の生産量。比較的地域が偏っており欧州,ロシア,東欧,アルゼンチン,米国,トルコなどが主要な生産国。高リノール酸が特徴だが,最近は高オレイン酸タイプの生産量が増えている。
コーン油 トウモロコシの胚芽から得られる。風味が良く,サラダ油として高い評価を受けている。サラダ油にしても色が濃いのが特徴。リノール酸を50〜60%含む。
サフラワー油 日本ではべに花油としての方が有名。世界的にはマイナーな油脂で,産地は米国(カリフォルニア州とアリゾナ州),オーストラリア,メキシコなど比較的限られている。焙煎する芳香油も多い。オレイン酸40〜49%,リノール酸30〜37%。
オリーブ油 地中海地方特有の油。オリーブのフルーツを搾油。精製しないバージン油が特徴。搾油法も独特で圧搾か遠心分離機が主流を占めている。オレイン酸80%。
パーム油 マレーシアとインドネシアが主産地。パームヤシの果房を搾油。単収高く競争力に優れる。半固型脂で安定性に富み,フライ油に最適。カロチンを多量に含む。工業用としても幅広く利用。パルミチン酸(39〜46%)とオレイン酸(38〜44%)が主成分。
ひまし油 水酸基をもったリシノール酸を多量に含有。他の植物油にはない特性を持つ。脱水ひまし油,ロート油,セバシン酸など工業用途として貴重。インドが主産地。
亜麻仁油 酸化しやすく不安定な油で,塗料やインクが主な用途。ロシア,アルゼンチン,カナダなどが主産地。リノレン酸を40〜60%含み健食用途も増えている。
荏油 紫蘇から得られる油で,古くから灯明油として利用されてきた。最近はn−3系の不飽和脂肪酸(アルファ−リノレン酸)を多く含むことから健食用で人気。
椿油 椿は日本固有の植物で,海外では山茶花になる。オリーブ油に似て,オレイン酸含有率が高い。頭髪用として古くから利用。